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「おねえたん!」
走ってきたのだろう、あなたの息は乱れていた。その頬は少しの赤みを帯びて、サラサラとした髪は、風に遊ばれていた。
「うん? どうしたの」
ちょっと困ったように、少し恥ずかしそうに、あなたは右手で額をこしゅこしゅと掻いた。
「あのね」
意を決したように見上げたあなたはその小さな左手を広げた。あれはそう、あなたがまだ4才か5才の頃。その手のひらには10円玉が2つと5円玉が1つと、1円玉が2つ乗っていた。
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