VOICE 1 憧れの声優と怖いセンパイ

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「すずちゃんも朝陽くんの声きいたことあるでしょ?なんともおもわないの?」 「聞くには聞いたけど……声は特別タイプってわけじゃなかったわね」 すずちゃんとは神くんのことで盛り上がれない。だから、毎回こんなふうに話が噛み合わないのは本当に残念。 「ひーちゃん、おはよう!今日も寝不足?」 「さっき思いっきり転んでたでしょ?大丈夫?本当にドジっ子なんだから」 「ほどほどにしとけよ久住ー。ほら、スッキリするアメやるよ」 「あ、私も!チョコレートでよければどうぞ♪」 「わあ、みんないつもありがとう!」 HRが始まる前、すずちゃんとそんな話をしていると、クラスのみんなが心配して食べ物をくれた。 「みんな小動物に餌付けする感覚よねー」 それはたぶん、あたしのおっちょこちょいでドジな性格と、チビなせいだと思う。 ドジなところは、さっきみたいに転ぶことなんてよくある。中学生のときに止まった身長は、何年経っても伸びてくれない。 「まあでも、べつにいいよ!みんなかわいがってくれるもん♪」 「相変わらずポジティブな性格ねー。それでクラスの人気者なんだから、ある意味尊敬するわ」 昔はコンプレックスだったドジな性格も身長も、あることをきっかけに考え方を180℃変えたら、プラスに考えられるようになっていた。
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