玉ねぎ

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中学を卒業してすぐに働いた。中学の担任から「お前は家を出た方がいいのと違うか」といって勧められたのだ。 小さな建設会社の寮の住み込み賄い婦。チーフと呼ぶおばさんが主な調理をやって、私はその下働きと、寮の掃除と洗濯係。きつい仕事ではなかった。 寮といっても住んでいるのは20人もいない。建設現場の人がほとんどで、入れ替わりも激しかった。家族的な雰囲気とは言い難いが、その方が私にはありがたかった。 親と離れたので暴力を振るわれることはなくなったが、給料日になるとやってきて、金を巻き上げていった。週末には以前と同じように「仕事」をさせられることもあった。
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