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どこから聞きこんできたのか、これまでの「仕事」のことは、寮でも知られてしまった。
寮での仕事が終わると、誰かしら部屋の前で待っていて、ニヤニヤ笑いながら「ちょっと身体貸して」と言われるようになった。
私は「断る」ということが怖かった。断ることを考えただけで心臓がバクバクして、膝や手が震えてしまうのだ。
結局私は会社でも陰で公衆便所と呼ばれていた。
けれど相手をした後に黙ってお金を置いていく人もあった。
私はそのお金をせっせと貯めた。親が来ても全部巻き上げられないように2つの通帳に分けて預けておいた。金額が増えていく通帳を見ていると、嫌なことが忘れられた。
毎日ご飯も食べられるし、中学のころに比べればよほどマシな暮らしだと思えた。
ある日社長に呼ばれて話を聞かれた。
社長は「そうか」と言って私の身体をジロジロと眺め、薄笑いを浮かべていた。
その後は取引先の人の相手もさせられるようになった。
給料が少し上がった。
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