打ち上げ!

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打ち上げ!

「めん、どう、なんて言わないで〜!」  ついに──私たちのファーストステージの幕が上がった。 「このセンターの、土間 栞菜ちゃんがですね……」 「今日はコサージュなんか付けちゃって」 「コサージュって……最近聞かないけど」 「どう? 可愛いでしょ。これ、薔薇なの」  まずは軽い自己紹介とMCからスタート。  会場の反応は──なんて、気にする余裕は、ない。  そしていよいよ……はじめてのパフォーマンスの時間。 「──それでは聴いてください。『セブンステップ』!」  初ライブは、あたたかい観客のみなさんのおかげもあって、大成功──と言って差し支えないものとなった。  この達成感…………きっと、みんな同じことを考えていると思う。 「ありがとうございました〜!」  拍手のシャワーを浴びながらステージを降りた私たちは、そのまま物販コーナーに立ち、ほかのバンドやアーティストさんの公式グッズを手売りして、21時にようやく会場をあとにした。  もちろん、それで解散──ではなく、事務所で打ち上げパーティーが開催されることになり、メンバーである私たちは当然フル参戦。飲めや歌えや(……もちろんソフトドリンクだが)の大騒ぎであった。 「いやあ、今日は本当に良かった! この勢いで、早いうちにCDデビューもさせちゃいたいところだよね!」  社長もノリノリ、上機嫌だ。完全に酔っ払っている。 「また、そんな……。でも、素晴らしいステージでした。私も感動しちゃった」 「あっ、ありがとうございます」  菅野さんに褒められるのは珍しい気がする。そしてやっぱり、そのことが単純に嬉しい。 「最初のうちは……どうなることかと思ったけどね〜」  テルちゃんがほのちゃんの肩に手を置いて軽口を言う。 「──知ってます? ここ、バチバチしてたんですよ」  当事者であるほのちゃんも、それに乗る形で、自分とドンちゃんを交互に指さして笑っている。 「でも嬉しかった……。本番前に、穂花ちゃんが綺麗な薔薇、黄色いの……プレゼントしてくれたんですよ。今日、衣装につけてたアレなんですけど」  さらに、ドンちゃんもあとに続く。本当にいいチームワークが出来てきたなあ。 「このメンバーでずっと……CDデビューも、いつかテレビ出演とか、ライブとかもやれたらいいよね」  曜ちゃんの言葉に、みんなでうん、うんと頷く。 ──そう。  このときは、あんなピンチが訪れるなんて、私たちは思ってもいなかったのだ…………。
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