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やけに眩しい夕焼けの光が、私を出迎えた。
屋上で受けるそよ風は、私のうっ憤を晴らしてくれる。
辛み、悲しみ、怒りを忘れさせてくれる。
だが、今日は、そうとはいかないようだ。
思い返せば、私の人生、何一つうまくいったことがなかった。
周りの子よりちょっと要領が良かっただけで思い上がった私は、地元でトップクラスの高校を受験し、見事失敗した・・・。
酷く後悔をした。
私は、他の人とは違うと、心のどこかでそう思っていた。
何も、何ももっていなかったくせに。
大学受験は妥協をし、会社も思い通りの職種に就くことはかなわなかった。
それでも、人生は続いていく。生きるためにがむしゃらに働いてきた。
だが、それも疲れた。
一歩、この足を踏み出せば、私はコンクリートへと叩きつけられるだろう。
そして、この不満ばかり募った人生とはおさらばだ。
今まで育ててくれた母よ、親不孝な娘でごめんね。
震える足に力を籠め、飛びだしたその瞬間、何者かに引っ張られた。
一瞬、何が起きたのかわからなかった。
繋がれた手の先を見ると、そこには見知った男が、息を荒げ、すごい剣幕で私を見てた。
私は、思い出したかのように涙が出た。
情けないほど、涙が出た。
その間、男はなにも話さず、ただただ手を掴み、離さなかった。
涙が収まったころ、その男は口を開いた。
「今回は逆だったな。」
少し困ったように、はにかんで見せた。
かつて、自殺を試みた同級生を救ったことがある。
それは、自信に溢れていた醜い私だ。
紛れもなく、私だ。
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