5 黒川さんの里帰り

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 そして、そんな日々の中、彼女はふと、ある発見をした。仕事の帰りに寄ったコンビニに、ちょうど月刊サバト最新号があったので、本当に誌面がリニューアルされて黒川の漫画が排除されているのか、買って確かめてみたのである。(目次だけを見ればいいのだが、シュリンクされていたので買うしかなったのだ!)  家に帰り、その中身を確認すると、確かに前には巻末にあった「ひょっとこリーマン」という漫画はなくなっていた。代わりのように女子高生のゆるい日常四コマ漫画が八ページ掲載されていた。「ひょっとこリーマン」の入れ替わりの新連載だろうが、ページが倍だ。いいのか、これで?  ただ、彼女が一番注目したのはそこではなかった。なんと、その号には、ウェブに追いやられたはずの黒川ミミック先生の漫画が掲載されていたのだ。しかも三十二ページも。目次の作者コメントを見ると、「諸般の事情でお蔵入りしていた読み切りです。読んでね」とだけあった。  どういうことだろう。彼女はさっそくその漫画を読んでみた。タイトルは「超五感探偵スプーキーセンシズ」だった。主人公の超鋭い五感の能力を使って事件の謎を解くミステリーもののようだが……。
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