5 黒川さんの里帰り

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「じゃあ、私、アンケートはがき出しますよ。黒川さんの読みきり漫画に面白かったってチェックを入れて」 「え、いいんですか! 切手代かかっちゃいますよ?」 「いいですよ、それぐらい」 「読者プレゼントなんてほとんど当たらなくて、編集部でガメてるんじゃないかって黒い噂もあるくらいなんですよ?」 「いや、プレゼントはいりませんから」  雪子はまた笑った。こっちが推しのアンケートを出すと言っているのに、なぜこんなに及び腰なのか。 「せっかくだから、今日すぐにでもアンケートはがきを書いて、投函することにしますよ。疑うなら、ポストにまでついてきてもいいですよ」 「今日すぐにでも、ですか。奇遇ですね」 「え?」 「僕もちょうどポストさんに用事があったんですよね」  と、黒川はおもむろにジャージのポケットから一枚の紙切れを取り出した。月刊サバトについているアンケートはがきのようだった。 「あ、自分でも一票入れるつもりだったんですね、黒川さん」 「べ、別に僕としてはそこまで大事な漫画でもありませんけど、やっぱり、万年最下位からはちょっと順位を上げておきたいじゃないですか……」 「そうですね」  なんだか素直じゃないなあと、雪子はまたしても笑ってしまった。
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