5 黒川さんの里帰り

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 それから、雪子はいったん自宅に戻ってアンケートはがきを書いて切手を貼り、黒川と一緒に最寄のポストに行った。日はすでに落ち、外は真っ暗だった。  はがきは、二人で同時にポストに投函した。 「い、入れますよ!」 「はい」  からん。二枚のはがきは速やかに赤い金属製の箱の奥に消えていった。 「うわあ。本当に投函されちゃいましたね! 僕の漫画推しのアンケートはがきが二枚も! すごい!」 「連載、とれるといいですね」 「うーん、どうでしょうかねー?」  黒川はやはり自信がなさそうに首をかしげる。 「でも、結果がどうであれ、雪子さんが僕の漫画を面白いって言ってくれて、僕の漫画にアンケートはがきを書いて出してくれたのが、僕はすごくうれしいです。他の誰でもない、雪子さんだからこそ、僕はそう思うんです」  黒川は雪子をまっすぐ見つめ、にっこり笑った。その黒い瞳は、かりそめの結婚式を挙げたときと同じ、やさしい光をたたえているように見えた。 「は、はい……」  雪子はあのときと同じように、胸が高鳴り、顔が熱くなるのを感じた。
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