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「ぐ、ああっ!」
男は、黒川に首根っこをわしづかみにされて、たちまち苦しそうに身もだえし始めた。必死にその手を振りほどこうとじたばたするが、よほど強い力でつかまれているのだろう、黒川は微動だにしなかった。
「とりあえず、今のままだとサイズ感がアレなんで、もっとコンパクトになってもらいましょうか」
瞬間、黒川の赤い瞳が鋭く光った。男はさらに苦しみ始め、その体は何やら青白く発光し始めた。
そして、すぐにその体は青白く光ったまま小さな丸い球体に形を変えてしまった。しかも、炎のようにゆらゆらと揺らめいている。あれはもしや、人魂? そう、まさにそう呼ぶしかない存在だった。
「うーん、いいですね。色といいツヤといい、煩悩と妄執に満ちたすばらしい輝きです。ではさっそく――いただきます」
ぱくり。なんと、黒川はその人魂を口の中に入れてしまった。
「く、黒川さん?」
「うふふ、美味美味」
もぐもぐ。黒川はそのまま口を動かしはじめ、人魂をじっくり味わいながら食べているようだった。しかも、心底幸せそうな顔をして。
やがて、人魂をごくんと飲み込み、彼は「ぷはーっ」と、実に満足げに息を吐いた。雪子はその様子に目をぱちぱちさせるほかなかった。悪霊を食べるってどういう……。
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