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2020.9.18-19 鬼怒川温泉(栃木)⑪
さてさて朝食を終えて部屋に戻ると9時前という微妙な時間でした。
チェックアウトは10時。
温泉に入ったので着替えも終わってるし、そもそも弾丸旅行で来たので荷物も全然ないので帰宅準備なんてほとんどないです。モバイルバッテリーをしまうくらいですかね。
そういえば旅館やホテルで一番多い忘れ物が充電器らしいですよ。コンセントに刺しっぱなしでついうっかり忘れちゃうそうです。
「コンセントは3回確認しろ」
池田家で親から子へ代々語り継がれるセリフです。
もっとカッコいいのが良かった。
さてチェックアウトまで時間があります。
早めに出ても良かったんですが、空模様がなんだか怪しくて少し様子を見ようかと思ったり、部屋が素敵すぎてごろごろしたいなと思ったり(8割こっち)でのんびりすることにしました。
お湯を沸かして、お茶を淹れます。
こういう旅館の窓際にある低めの椅子に座って、湯気の立つ緑茶を啜り、本を読んだりTwitterを見たりしながらゆるりとした時間を過ごします。
……いやこれ幸せでしょ。
これですよ、私がやりたかったのはこれなんですよ。
ゆるりとした時間なんて社会人にとっては宝物じゃないですか?
もうここから書くことはありません。
何も考えず、頭を空っぽにして、ただただ本の世界に浸っていました。
スマホのアラームが鳴って我に返ります。
9時50分。
こうしてアラームをかけとかないと時間を忘れちゃいますね。
私は鞄を持って部屋を出ます。
そして私にとっては毎度のことなんですが、フロントに行くためのエレベーターのボタンを押すときに「いや帰りたくないんだが」という気持ちが一番強くなるんですよね。
これに乗ったらもう戻ってこられないのかーとなるんですよ。じゃらん開いて再予約したくなります。
しかし私ももう立派な大人であり、理性ある社会人であることを思い出し(着替えがないんだってことも思い出し)スマホを持ち上げた手を下げてエレベーターのボタンを押しました。
そしてこういう時のエレベーターはすぐ来ます。相対性理論。
フロントに着くと、チェックインの時と同じおじさんが「ゆっくり休めましたか」と笑顔で迎えてくれました。
「あなたのおかげで」と言いたいところでしたが、流石に困らせてしまいそうですし、きっと彼だけでなく裏では色々な方々が動いてくれたのだろうと思います。「はい、ありがとうございます」と言うに留めておきました。
しかしこのご時世で旅館関係の皆様も大変でしょうに、本当に最初から最後まで変わらず笑顔で快く接してくれたんですよ。素敵すぎますよね。
ここまでの私の幸せな時間と紀行エッセイは、すべてこの方々の笑顔の裏にあるご尽力のおかげで形作られています。本当にありがとうございました。
さて。
私は部屋のカギを返しフロントのおじさんに「また来ます」と言って外に出ました。
外は曇天。
からっと晴れてはいないけど、風が涼しくて心地いいです。
どこからか川の音が聞こえます。窓から見えた鬼怒川でしょうか。
腕時計は外しました。
時間に縛られるのはまだ早いよ。
気の向くまま歩いていこうと、川の音が聞こえるほうへふらふらと私は歩き出しました。
次回、はじめての鬼怒川へ!
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