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2020.9.18-19 鬼怒川温泉(栃木)⑤
エレベーターで降りた1階に温泉はありました。
私はそこで悩みます。
大浴場と露天風呂は場所が違うとのこと。
どっちから行こう。
しかし迷いは一瞬でした。なんにせよ早く温泉に入りたかったからです。
うん。大浴場で身体を清めて露天風呂でゆっくりしよう。
私はその行動指針に従って、大浴場へと向かいます。
脱衣所に着きました。歩いてる時から感じていましたが誰もいません。
大浴場に入ると、ひとりだけ30代くらいの兄ちゃんがいました。
しかし私が入ってきたからなのか、すぐに出ていってしまいます。
……つまり、大浴場貸し切り。
おお、いいのかこれ。
またもパーティールームヒトカラシンドロームに陥ります。
ひとまず身体と頭、顔を洗いました。
いつもと違うシャンプーの香りに「ああ、違う場所だ」とまた小さくニヤつきます。
こういうので、いちいち楽しくなっちゃうタイプ。
さて、いよいよ湯船です。
結構広いです。A4用紙100枚は並ぶんじゃないかな(よくわからない例え)
そんな長方形の浴槽になみなみと温泉が注がれています。
そしてついに、白い湯気の立つ湯面に足を入れます。
……ああ。
熱くもなく、ぬるくもない。
本当にちょうどいい温度が私を包み、それはまるで天使か何か神聖な存在にゆるりと抱き締められているような、そして「君はもう何も考えなくていいんだよ。無になり安らぎなさい」と許しを得たような、そんな尊く眩い気持ちになりました。
……意味わからないって? 最高ってことだよ。
私は誰もいない広い温泉で足を伸ばします。
「足を伸ばすということは羽を伸ばすということなんだよな、つまり人間にとっての羽とは足」
と温泉が気持ち良すぎてこんなよくわからないことを考えたりしてました。
誰もいない静かで大きな温泉。
腕を動かすと、ちゃぽちゃぽと湯面が荒れる音がします。
肩まで浸かってじんわりと冷えた全身に温もりが広がっていく感覚。
……温泉、来てよかった。(やっと)
…………。
…………。
…………。
それからしばらく本当に何も考えず、ただただ贅沢で緩やかな時間に浸っていました。
ぼんやりとして思考もまとまりません。
まあでもいつも色々考えてるんだから、たまにはとろけたっていいじゃない。
どのくらい経ったのか分かりませんが、少しすると外から足音が聞こえてきました。他のお客さんがやってきたようです。
もう少し浸かろうかなとも思いましたが、露天風呂にも行きたいし、身体もあったまったし、あのお客さんにもこの幸せを味わってほしいなとも思いました。
私より先に入っていた兄ちゃんもそんな気持ちだったのかもしれません。
お客さんが扉を開けて入ってくると、私は温泉から上がりました。
浴衣を着て(浴衣ありの旅館で良かった!)、髪も半渇きのまま荷物を持って脱衣所を出ました。
大浴場最高でした。でもね、私は露天風呂のほうが好きなんです。
だって露天風呂って、温泉って感じじゃないですか!!
雰囲気というのは本当に大事です。
温泉に来たのに露天風呂に入らないでどうする。
私は露天風呂に向かいました。
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