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2020.9.18-19 鬼怒川温泉(栃木)⑥
露天風呂にやってきました。
この旅館の露天風呂は本当に露天風呂だけのスペースが取られており、脱衣所から扉を開けるとすぐに屋外。
シャワーと岩で囲まれた温泉があるシンプルな造りです。
そして、露天風呂にも誰もいない。
なんで?
みんな温泉宿に来て一体何してるの?
ウノ? ウノ楽しいよね。
まあこんなご時世ですし(しかも平日ですし)あまりお客さんも来ないんでしょう。
ホテル側も大変だ。こんなに素敵なホテルなのに!(もうこのホテル大好きになってる)
まあしかし露天風呂貸し切りというのは私にとっては良いことでしかない。
贅沢すぎるぞ。やったー!
扉を開けて露天エリアに入ると、駅からホテルまで歩くときに襲ってきた冷たい風が再び私を冷やします。
さむっ。
急いでシャワーで身体を流してから、湯船に浸かりました。
…………あーーーー。
もう完璧です。
露天風呂の温度は大浴場よりも少し高めで、肩まで浸かっているとすぐに全身温まります。
でもここからが本番。
高さの低い岩に座って、半身浴状態に移行しました。
冷たかったはずの風が涼しくて気持ちいいです。
先程まで敵だった夜風が、今は熱くなった身体を適度に冷ましてくれる味方のように優しく感じます。
このあったかいと涼しいのコンボが最強なんですよね。
冬にこたつ入りながらアイス食べるみたいなもんですよね。(なんか違うか)
これは永遠居られるなあ、と思いながら辺りを見回します。
正直、景観はそこまででした。
目隠しのためなのか、すぐそばに木が植えられていて生い茂った葉っぱしか見えません。
でもね、空は見えました。
曇っていたので満天とは言えませんでしたが、雲の割れ目からぽつぽつと星が瞬いて、うん、悪くない感じ。
聞こえるのは、絶え間なく流れ出るお湯の音。涼しい風の音。揺らいで擦れる葉っぱの音。
そんな人の声以外で満たされた空間で、全身の力を抜いて。
ぼーっと、ただひたすらぼーーっと夜空を見ながら温泉に浸かります。
……時間。を忘れました。
今日中に、とか。
昼までに、とか。
あと5分、とか。
私たちは時間を気にして、時間に追われる毎日を過ごしています。
休日だって、あと何分あるから何文字書けるな、とかつい考えちゃうし。
でもこの瞬間は、そんなの全部忘れました。
さて、では人は時間を忘れたら何を考えるのでしょう。
私は何も考えてませんでした。
ただただ周りにある温度や音、色や光、香りや質感など、自分が全身で感じ取った全てのものを真っ直ぐに受け入れていました。
悟りに近いのかな。世界の一部になる感じ。
一は全。全は一。(FA好き)
とにかくそれは、とても穏やかで心地の良い感覚でした。
そんな感じで時間から外れたまま、私はただ温泉に浸かっていました。
次に私が意識を取り戻したのは、露天エリアの扉が開いて他のお客さんが入ってきたときでした。
(あとから確認したところ、おそらく30分以上浸かっていたと思われる)
大浴場の時と同じように、私はそのお客さんと入れ替わる形で露天風呂を出ました。
身体はほっこり温まって、ちょうどお腹が空いてきました。
部屋に帰ってご飯食べよ。
今日は欲望のままに生きると決めた春哉です。
身体を拭いて、浴衣の帯を締め、コーヒー牛乳を横目に見つつ部屋に戻りました。
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