5人が本棚に入れています
本棚に追加
異世界転移について知ります!
チャイムの音が授業の終わりを告げる。朝遅刻しかけたけれども、それももう終わった話。私は異世界転移をして、魔法を手に入れるからもう学校も関係ない!
授業中にこっそり読んだ古文書には、異世界からこちらの世界に来た人が語った内容が書かれていた。
-満月の夜、庭の大きな岩の後ろにはポッカリと穴が空いていた。この穴を通れば、きっと元の世界に帰れる。けれど、魔法は使えなくなってしまったけれど私はこの世界で大切な人を見つけてしまったからもう帰れない。
読む限り、あちらの世界では魔法を使えるようだし……ただ、庭の大きな岩が分からないんだよなぁ。どこにある岩なんだろう。
考え込みながらも部室へと入る。ショウコは相変わらず行動が早く部室の席に着席しながら、また昭和の音楽を聞いていた。
「ちょっと、遅れちゃったかなぁ?」
そんなことを言いながら、扉からひょこっと顔を覗かせたちゃこも部室に入ってくる。
「古文書読んだんだけどさぁ」
「マホマホ、異世界転移の方法がわかっちゃったのかなぁ?」
ちゃこが朝のように椅子に正座で座りながら、私の方を見つめてくる。うん、ちゃこはやっぱり、チワワみたいだ。尻尾が見えるような気がする。
「わかったんだけど、岩が分からないんだよねぇ」
古文書をまとめて、ショウコの方に渡せばショウコはぽつりと呟いた。
「私の家」
「そうそう、家にもあるよね……家!? ショウコの家なの!?」
「これは、私の家の歴史」
驚いてショウコの方を見つめれば、ショウコは少し微笑んでからまた音楽を聞き始めた。スマホをぽちぽちといじりながら驚いた声をあげたのはちゃこだった。
「マホマホ! 今日はちょうどよかったかなぁ? 今日、満月みたいだよぉ」
ニコニコと笑いながら、見せているスマホを覗き込めば今夜はブルームーンという文字が目に入った。
「じゃあ、決行は今日だね! ショウコの家にお邪魔してもいい?」
そういえば、ショウコはこくんと頷きながら鞄から何かを取り出し始めた。その動きを観察していれば、次々と服を取り出す。それは以前、議題で話し合った魔法少女っぽい服だった。
「作ってきた」
最初のコメントを投稿しよう!