問屋さんらしいです。たぶん?

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問屋さんらしいです。たぶん?

 プルちゃんとキョロキョロ建物内を見て回っていたちゃこも戻ってきて、私たちの間にちょこんと腰掛ける。 「ちゃこ、あのさ。私だけ何もわかってないんだけど……説明してもらっていい?」  ちゃこにお願いすれば、プルちゃんがまた1度だけ鼻で笑って欠伸をして寝出す。 「プルちゃんに通訳してもらったんだけどぉ。ちょっと、難しかったかなぁ?」  ちゃこが少し首を傾げて困った顔をすれば、いつもは言葉が少ないショウコが急に饒舌に話し出す。 「ここは、モンスターの素材、お肉等を買い取る場所です。いわゆる冒険者ギルドみたいなもんですよ。私たちの想像するね」 「でも登録とかはしてないよね?」 「私たちの世界で言う問屋みたいな感じですね。買取して、他の業者に卸して利益を得ているみたいですね。なので買取はここ以外にも色々とあるようです」  その答えに納得して、うんうんと首を頷きながら話を聞く。 「ところで、ショウコはなんで言葉を話せるの?」 「それ! ちゃこもちょっと、疑問だったよ〜!」 「習ってましたから。お家で」  あの古文書を思い出して、考える。ショウコの家は多分、こちらの世界とから来た人をお世話していたのだろう。 「壁に貼ってある紙をね、プルちゃんに読んでもらったんだけど……買取額みたいなのが書いてあったよぉ。でもどれかどれか、ちゃこたち分からないよねぇ」  少し不安そうな表情で呟くちゃこに考え込む。けれど、言葉を理解する術のない私にはどうすることもできなくてショウコに頼るしかない。 「××× × ×××」 「呼ばれたので、別室に行きますよ」  そう言うショウコについて行けば、受付にいたお姉さんが待っていた。  そのお姉さんに従って進めば、ベンチの方からは気づかなかった通路へと向かっていく。  教室のような広さの部屋に通されて中に入ればショウコが何かを呟く。 「×××× ×××」  お姉さんの方は、微笑んで頷いて私たちへと手をかざす。眩い水色の光が私たちを包む。 「これで、大丈夫でしょうか?」 「えっ、わかる」 「ちゃこも、わかっちゃったかなぁ」  2人で驚き顔を見合わせているとプルちゃんが起き出して、あくびをしながら言葉を放つ。 「お前馬鹿じゃねぇの」  思いもよらないダンディな低い声に見た目とのギャップを感じながらもプルちゃんをにらみつける。 「やっぱり! 馬鹿にしてたよね!?!?」
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