ＬＩＮＥのお陰で保たれた愛

　翔太と成美は同じアパートで育った幼馴染。二人は小学三年の頃からお互いを異性として意識し出し、小学五年に進級して同しクラスになると、時を経るに従って子供ながらにして芽生えた恋心を育くんで行った。けれども秋になって翔太が二人の住む豊橋市（愛知県南東部に位置する）の南に隣接する田原市のとある小学校へ転校することになってしまった。
　勿論、翔太は成美と離れたくなかったし、成美も翔太と離れたくなかったが、二人ともスマホとパソコンを持っていてＬＩＮＥで繋がっているから連絡は十分取り合える。だから昔の仲の良い子供同士が離れ離れになって遭うような悲劇にはならない。チャットだって出来るから顔も見れるのだ。だから去る者は日々に疎しとはならず成美は翔太のことを忘れよう筈がなかったし、翔太も成美のことを忘れよう筈がなかった。二人の仲は全く疎遠にはならなかったのである。しかし、目の前にいる訳ではないし、目の前の子に惹かれもする。