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第5回 《英雄は語る》
ワイナモイネンさまは、傷の痛みが和らいだことから、気持ちも楽になって、知恵のうたを高らかに歌ったのです。
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『わたしは、真実を歌おう。
大地にかけて、正しいうたを。
むかし、はるかなむかし
はるかな、天の世界から
巨大な船がやってきた。
それは、我々がみることができる
あの、星ぼしの、さらに、はるかな彼方から
やってきた。
彼らは、この天地の下に、住みかを求めた。
わが、母は、
そのことを、知っていた。
彼らが、降りてきたのを、見たのだから。
しかし、彼らは、それ以来
いちども、姿を現さなかった。
それが、昨日になって、
現れたのだ。
私は、聞いた。
彼らの声を。
『いざ、戦うべき時が来た。
まずは、あの、月を、征服せん。』
彼らは、ボホヨラの、暗き大地の底より
現れたのだ。
まもなく、月の世界から
はげしい戦いの音が、聞こえるだろう。』
『なんと、うさぎさん。いや、王女さん。それが本当なら、大変だ。あ、英雄さん、うさぎさんは、月の王女さまなんです。』
かめさんが、いいました。
『この、英雄が語るならば、嘘ではないのでしょう。しかし、かめさんと、あたくしだけでは、援軍にもならないな。』
古き英雄が言いました。
『ならば、私が、援軍を揃えよう。怪我を直してくれたお礼に、勇敢な兵士を集めよう。サンポから、たくさんの、不滅の兵を、鋳造しよう。』
『あの。さんぽ、て、なんだろうね、うさぎさん。みんなで、おさんぽかい。』
『さあ? 鋳造しよう、というからには、なにかの、製造機械ではないかな? 英雄さん。それ、なに?』
英雄が言います。
『いざ、イルマリネンに頼みに行かん。聞いてくれるかどうか。いささか、問題ではある。』
『お友達ですか? なんで、問題ではある、なんですか。か?』
『おほん、けんかしたから、だ。よくあることだ。むむ、む。』
英雄は、歌の調子から外れて、少し、タイミングが、狂ったようです。
『まあ、たしかに。あたくしも、月の世界でけんかしたから、追い出されたのですが。』
そうして、英雄が、やおら、立ち上がったのです。
🛸
やましんちに住みこんだウサギさん
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