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第10回《宇宙空間の闘い》その1
『お妃様あ、地球からおかしなものが、一杯飛んできますぞ~~!』
『なにを、じい、焦っておられる。この船に敵はない。どれどれ。・・・む、これは、なんだろうな。蛾の大発生とか。地球からどんどん出てくる。面白い!』
『あのお、蛾は、宇宙を飛びませぬ。地球人類もですが。あらあ、あやあ・・・・あのうさぎは、姫様では。はて、あの、かめは・・・なんでしょうな。』
『ああ、あいつは、うちの子の遊び相手に付けてやった、足軽の息子さ。双方に、身の程を悟らせることが目的であった。また、おかしな遊びを覚えたものさね。月に仇を討とうとしているか。蹴散らしておあげ、うちの子は、捕獲せよ。せっかく、自由を与えたのに、親に歯向かうとは。』
『お妃様とは、わからずにやっているのでありましょうぞ。だいたい、お妃様が、月を攻めておられるのですから。』
『ふん。王女の立場ならば、このようなものを見れば、ピント来るはずさ。まだまだ、修行が足らぬな。』
***** *****
その、巨大な宇宙戦闘艦からは、多数の攻撃用宇宙艇が飛び立ちました。
「うさぎさん、でた。なんだあれは。」
「かめさん、知らないの。あれが、月の王室ご自慢の、最新型ムーン・ファイター・セブン、なんだ。光速の70%の速度に、わずか0.5秒で達するのよ。ただし、早すぎて、遅い相手と闘うのには、却って不便だと助言したのにな。なにせ、ゆっくりだと、安定性があまりよくない。少し、ぶれるんだ。失敗作なんだよな。お母様がむりやり量産させたのです。つまり、これは、お母様がお父様に対して、クーデターを起こしたとみて、間違いないでしょう。そうしたことを考えていることは、分かっていたのよ。あの二人、しょっちゅう、喧嘩してたしな。この際、仲直りさせましょう。そこで、ではでは、英雄さまの鋳造した兵士たちの実力をみせていただきましょう。」
うさぎさんが、イルマリネンさんからもらった、『宇宙笛』を吹きました。
もちろん、宇宙ですから、音が出る訳ではありません。
すると、まだまだ地球から、どんどんと鋳造されて出てくる兵士たちが、ムーン・ファイターに突進しました。
「うさぎさん、連中、遅い。」
「ふん。ちょっと、まって。光底引き網、発動。」
「なんだ、そりゃあ。」
鋳造兵士たちが、なにやら輝きながら、宇宙空間を舞いました。
すると、かなりの高速で突っ込んできた、広い範囲のムーン・ファイターが、非常に不自然に、何かに絡まったようになって、爆発するのです。
「あああああああ。運転手さんたちは?」
「パイロットたちのことね。あれには誰も乗ってない。自動運転だから。」
「なんと、うさぎさん。無人機ですか。」
「そうそう。まあ、乗って乗れない事はないが、月の住人は少ない。犠牲者は出したくないもの。」
***** *****
『お妃様、どんどん、やられてましぞ。』
『ふうん。多少は、出来るみたいね。しかし、あれは、何だろう。ロボットのようでもあるが。なんだか、地球上では、かなり重そうな。ある種の地球人が作る、埴輪とかいうものに、似ている気がする。じい、ちょっと、粗っぽいが、ここから、集熱地獄砲を浴びせなさい。』
『いやあ、お嬢さまに当たっては。たいへんでずぞ。こっちの戦闘艦も、壊しますぞ。』
『当たらぬように、やりなさい。ファイターは、少々は破損してもよい、やれ。そのくらい、そなた、計算済みであろう?』
『はいはい。やれやれ・・・。』
『なにか?』
『いえ。やります。はい。もちろん。』
じいは、月世界きっての、科学者でも、ありました。
『ええと、お嬢様の周囲に、防御バリヤーを形成し、と、これでよし。あとは、広角発射。オン!』
一瞬、火花のようなものが飛び散りました。
鋳造兵士たちが、瞬間的に、まとめて溶けるように、消えてしまうのです。
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大阪にいた、うさぎさん
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