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第14回『国王さまと王妃さま』その3
『陛下、お妃さまが、地球から現れた、怪しいロボットのような物体と交戦中。チャンスですが?』
月の正規軍のトップである、大臣が言いました。
『いや、そのようなことは、やらないもんね。』
『しかし、国王さまに、公然と、しかも、なんの説明もなく攻撃しようとしたのは、お妃さまですが?』
『まだ、攻撃されたわけではない。なんか、おかしいだろう。』
『まあ、そりゃ、尋常ではないですが。』
『娘と、連絡できないかい?』
『さて、そう言われれば、そうですね。どうやら、姫様は、地球人を味方につけているようですな。いまなら、奥様を、挟み撃ちできますぞ。』
『いやあ。あの、宇宙艦は、そういう、レベルじゃない。月も、地球も、すぐ、壊滅させられるだろう。古くからの言い伝えが正しければな。それを、しないのは、奥さんが知らないからか、なにか、企んでるからだろう。 しかたがないから、婆上を、呼んでまいれ。ちと、うるさいが。』
『御意。』
婆上というのは、国王さまの、母上さまのことなのです。
たいへん、強力な、魔法使いでした。
・・・・・・・・・・・・・・
『うさぎさん、ぼくには、さっぱり、分からないよ。』
かめさんが、泣くように言いました。
『まあ、無理もないわ。かめさんは、知らされていないことだから。あたくしは、お婆様から、あの、巨大な宇宙艦について、いくらか、話を聞いたことがある。』
『ご隠居さまかい?』
『そうですよ。月の世界最高の、魔法使いであり、豊富な知識の持ち主である方です。ワイナモイネンさんみたいなものね。』
『あの、ちと、情けないじいさんと比べられるのかい?』
『かめさんは、ワイナモイネンさんの実力 も、まだ全部見てはいないのよ。飛鳥の国の、あの、舞姫さまもね。どちらも、偉大な英雄だから。』
『ふうん。でもですね、なんで、こうなってるの?』
『うん、そこなんだなあ。ねえ。かめさん。父上が、連絡してこいと、さかんに通信してきている。でも、いまは、ちょっと、やめといたほうがよさそうなんだ。母上が、傍受しているに違いないからね。』
『はああ。うさぎさんは、かしこいからなあ。』
『そうでもないわ。たぶん、間もなく、お婆様が、出てくる。そしたら、みんなで、話し合いをしよう。』
『はあ。まかせます。』
『そう。かめさんは、それで、良いの?』
『もちろん。』
うさぎさんは、ちょっと、首を傾げながら、うなずいたのです。
🐰
イルマリネンさんの作った、不可思議な人形(ひとがた)は、巨大な宇宙艦のエネルギーを、まだ、吸っておりました。
お妃さまが言いました。
『じい? このままでは、まずいのではないか。』
『たしかに。』
『どうしたら、良いと思うか?』
『じいに、お尋ねか。』
『さよう。そなたの、知恵を借りたい。』
お妃さまが、珍しく、下手に出たのでした。
・・・・・・・・・・・🐢
松山の坊ちゃん列車(かめさんみたいにゆっくり動く)
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