第15回『元ひみこの陰謀』

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第15回『元ひみこの陰謀』

 うさぎさんは言いました。  「そういうことは、考えたくないのですが、もしかしたら、今飛鳥にいらしゃった、あの、元ひみこさまというあの方が、絡んでいるのかも。」  「ああ、あの不思議な魔術師な人かい。」  「そうそう。あのかたは、母上に恨みがある。母上に唯々諾々と従った父上にもね。あたくしは、確かめてはいないが、ひみこ様は、占いに失敗したために、殺されたとも言われたが、実は、命だけは、母上が助けたとも聞いてはいたが、生きていたのはご覧のとおりよ。」  「なんの占いですかめ?」  「それが、皆既日食を起こしてしまったとか、いいがかりをつけられたんだとかいうんだけれど、たしかに、二年続けてあの王国あたりで皆既日食があったことは事実(247年3月24日は、朝鮮半島南部から対馬あたりまで。248年9月5日、隠岐附近から能登半島、福島あたりまで皆既日食があったが、九州北部や畿内では、皆既日食ではないので、そのままでは筋が通らないともされる。)なんですが、そんなことは、とっくに彼女にはわかっていたことです。むしろ、うまく利用することができたはずなのに、どうやら、しくじったらしい。それは、おかしいのです。しかも、月人である卑弥呼さんが、地球の人間に、そう簡単に処分されるとは思えないからです。だから、そのままの話は、あまり説得力がない。しかしながら、お母様が、彼女を失脚させようと、なんらかの手段を用いた。とも思われるのです。」  「王妃様がなぜそのような。」  「はっきりはしませんよ。しかし、新しい統一王朝を作る狙いがあった人物が、お母様となぜか、手を組んだ。地球には、さまざまな資源がたくさんあります。その利権がらみかも。」  「でも、地球は、あれで広い。あの、小さな島国ひとつでは、あまり意味がないのではないかしら。」  「ふむ。そなた、意外と良いところに目を付けるな。見直したぞ、かめさん。」  「なにをおっしゃる、うさぎさん。」  「そこに、あの北欧の英雄が、ちょと噛みこんでいると、おもったのじゃ。なのですのよ。ほほほ。」  「うさぎさん、似合わないよ。王朝ことばは。」  「それは、どうも。気をつけます。」    67c2a14a-a2ff-49fe-87fa-988075388bd2   鉄道ファンには有名な『亀甲駅』(津山線。気動車内から。だいぶ前なので、変わってないかどうかは不明。)
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