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第19回 『元ひみこさま』 その4
飛鳥の都は、最も華やかな時代を迎えておりました。
さまざまな施設や石像が作られ、当時の最先端技術が使われた施設もたくさんありました。
たとえば、水時計も作られていました。
奇抜な石造も、たくさん創作されましたが、その中には、かめさんが一夜で作ったものも、ありました。
複雑な水路を作り、柵を巡らせ、庭園を造り、賓客をもてなしました。
しかし、月の世界は、はるかに進んだ科学技術をもち、巨大な宇宙船も建造していたのです。
しかも、かめさんやうさぎさんは、宇宙船なしで、月から地球に飛ぶことができたのですが、そのテクニックは、謎のままです。
かめさんとうさぎさんは、月の王様とお妃様が、大げんかしていることを知りました。
なんで、そうなったのか?
原因が判れば、仲直りさせることだって、出来るかもしれません。
どうやら、地球の飛鳥にいる、『元ひみこさま』が、その秘密を知っているのではないか、と、かめさんとうさぎさんは、考えたのです。
『元ひみこさま』は、実は、月の出身であることが分かっております。
あの、北欧の英雄さんは、ケガを治してくれたという、単なる行き掛かり上なのか、もっと内緒の秘密があるのか、かめさんとうさぎさんの立場に立って援軍を出してくれました。
これが、まあ、強い強い。
でも、この鋳造兵士の姿は、さらに古い時代の、遮光器土偶といわれるものによく似ておりました。
そこで、かめさんとうさぎさんは、図らずも、王様側の立場になっていたのです。
しかし、うさぎさんにとっては、お母様との戦いになってしまっていたのです。
自分は、やはり、母から憎まれているのか・・・うさぎさんは、実は、けっこう、悩んでおりました。
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と、まあ、ここまでは、そういうお話しになっておりました。
そこで、その晩、かめさんとうさぎさんは、再び飛鳥の都にやってきたのです。
この時代は、まだ、科学と空想や伝説はおたがいにくっついておりました。
そこで、話をする、かめさんやうさぎさんが、空から現れても、今ほどには問題視されなかったのでしょう。
いや、やっぱり、されたかな。
前回は、お祭りの真っ最中だったようでしたし、みんなでお酒を飲んでいたようでしたし、奇抜な格好をしていても、意外に不思議がられなかったのですが、今夜は宮殿のあたりに、かがり火が焚かれている他には目立つ明かりもなく、見張りの人が立っているのはわかりましたが、都はひっそりとしておりました。
で、先ほどのような事柄を勘案すると、あまり堂々と宮殿内に入って行くことは、さすがに、はばかられたのです。
そこで、夜陰に乗じて、空から直に、現れたのでした。
かめさんとうさぎさんは、探知機を持っていたので、あの巫女様の居場所はすぐにわかりました。
空の上には、故郷の月が、ちょうど半部くらいになって、浮かんでおりました。
『あの~~~もしもし。』
かめさんは、声を掛けました。
今の建物のように、びっちり密閉されてはいませんから、外から声を掛けることはそう難しくはなかったのです。
すると、ほどなく、元ひみこさまが現れました。
追放の身とは言え、うさぎさんは、月の王女様です。
月の出身である、元ひみこさまにしてみると、その王女様の訪問と言うのは、けっこう、重たい意味があったのです。
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つづく・・・かな?
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