第19回 『元ひみこさま』 その4

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第19回 『元ひみこさま』 その4

 飛鳥の都は、最も華やかな時代を迎えておりました。  さまざまな施設や石像が作られ、当時の最先端技術が使われた施設もたくさんありました。  たとえば、水時計も作られていました。  奇抜な石造も、たくさん創作されましたが、その中には、かめさんが一夜で作ったものも、ありました。  複雑な水路を作り、柵を巡らせ、庭園を造り、賓客をもてなしました。  しかし、月の世界は、はるかに進んだ科学技術をもち、巨大な宇宙船も建造していたのです。  しかも、かめさんやうさぎさんは、宇宙船なしで、月から地球に飛ぶことができたのですが、そのテクニックは、謎のままです。  かめさんとうさぎさんは、月の王様とお妃様が、大げんかしていることを知りました。  なんで、そうなったのか?  原因が判れば、仲直りさせることだって、出来るかもしれません。  どうやら、地球の飛鳥にいる、『元ひみこさま』が、その秘密を知っているのではないか、と、かめさんとうさぎさんは、考えたのです。  『元ひみこさま』は、実は、月の出身であることが分かっております。  あの、北欧の英雄さんは、ケガを治してくれたという、単なる行き掛かり上なのか、もっと内緒の秘密があるのか、かめさんとうさぎさんの立場に立って援軍を出してくれました。  これが、まあ、強い強い。  でも、この鋳造兵士の姿は、さらに古い時代の、遮光器土偶といわれるものによく似ておりました。  そこで、かめさんとうさぎさんは、図らずも、王様側の立場になっていたのです。  しかし、うさぎさんにとっては、お母様との戦いになってしまっていたのです。  自分は、やはり、母から憎まれているのか・・・うさぎさんは、実は、けっこう、悩んでおりました。     *****************  と、まあ、ここまでは、そういうお話しになっておりました。  そこで、その晩、かめさんとうさぎさんは、再び飛鳥の都にやってきたのです。  この時代は、まだ、科学と空想や伝説はおたがいにくっついておりました。  そこで、話をする、かめさんやうさぎさんが、空から現れても、今ほどには問題視されなかったのでしょう。  いや、やっぱり、されたかな。  前回は、お祭りの真っ最中だったようでしたし、みんなでお酒を飲んでいたようでしたし、奇抜な格好をしていても、意外に不思議がられなかったのですが、今夜は宮殿のあたりに、かがり火が焚かれている他には目立つ明かりもなく、見張りの人が立っているのはわかりましたが、都はひっそりとしておりました。    で、先ほどのような事柄を勘案すると、あまり堂々と宮殿内に入って行くことは、さすがに、はばかられたのです。  そこで、夜陰に乗じて、空から直に、現れたのでした。  かめさんとうさぎさんは、探知機を持っていたので、あの巫女様の居場所はすぐにわかりました。  空の上には、故郷の月が、ちょうど半部くらいになって、浮かんでおりました。  『あの~~~もしもし。』  かめさんは、声を掛けました。  今の建物のように、びっちり密閉されてはいませんから、外から声を掛けることはそう難しくはなかったのです。  すると、ほどなく、元ひみこさまが現れました。  追放の身とは言え、うさぎさんは、月の王女様です。  月の出身である、元ひみこさまにしてみると、その王女様の訪問と言うのは、けっこう、重たい意味があったのです。     ******************                 つづく・・・かな?
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