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『第21回 元ひみこさま』 その6
『地球の反対側にある、北の国で、英雄と呼ばれる方たちに、助けをいただきました。鋳作られた兵士たちは、月の兵士を凌ぐような力がありました。なにか、ご縁とか、いきさつがあるのでしょうか。このさき、自分たちは、どうすれば、よいのでしょうか。なんとかして、両親の仲立ちを成し遂げ、また、地球の立場も良くしたいのです。』
うさぎさんは、さらに、そのように続けました。
『姫様のお気持ちはわかります。しかし、なにもかも、いっぺんに、良くするのは、難しいのです。ひとつ、ひとつ、解決するおつもりでことに当たるべきでしょう。地球の反対側の英雄さんですか。もう、古い話しになりました。みな、元々、月の王国から地球におりたった、先人たちの、子孫なのです。それは、地球上に、かなりたくさんの移住者があった時代です。』
『それを、かの英雄さんは、知っていらっしゃったのですか。』
『さあ。その母君は、間違いなく月の出身だったと、思いますが、移住者の取り決めとしては、地球生まれの子供たちには、伝えない方針でした。だから、約束違反していなければ、知らないでしょう。』
『あの。あなたは、その、母君という方はご存知でしたか。』
『はい。しかし、地球での成り行きは、あまり、わかりません。』
『そうですか。』
うさぎさんは、元ひみこさまは、たぶん、良くご存知に違いないと考えましたが、そこは、聞いてもダメだろうとも思ったのです。
『で、なにか、良い方策はないでしょうか。』
『そうですね。では、あくまで、ご参考ですが。』
元ひみこさまは、語りました。
『いま、おおきみの命により、決して止まらない水流の庭を建設しております。』
『決して止まらない? 噴水とかですか。』
そうした、エクステリアに興味の深いかめさんが尋ねました。
『噴水とかもつくりました。』
『動力は、なんですか? 原子力? 電気?』
『ほほほ。ここには、まだ、原子力や、電力はありません。あるのは、水流による水力のみ。高低さを利用します。ぐるぐると、庭園の中をめぐり、仕掛けを動かすのです。』
『はあ。それは、できあがったのですか?』
『まもなく、中心部は動きます。様々な、仕掛けを作りました。そこに、月の王様と、お妃さまを招きましょう。我がおおきみは、土木工事が大好きですが、珍しいお客様も、好きです。まあ、月の使者というと、ちょっと、刺激的すぎるので、このさい、かの北の国の英雄も、招きましょう。できれば、和平につなぎたい。』
うさぎさんと、かめさんは、大胆な提案にびっくりしました。
『あのお、永久機関は、不可能と聞きます。なにか、外部からエネルギーを加えないと。』
ちょっとした技術者のかめさんが指摘しました。
『はい。まあ、これは、誰にも秘密で、明かしませんが、太陽光発電を利用します。』
『な、なんと。』
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