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第29話 『夫婦喧嘩の仲裁は命懸け』 その1
元ひみこさまが、うさぎさんに申しました。
『姫様は、今宵何があっても、手出しはなりませんよ。どちらの側についても、なりません。苦しいかもしれませんが、耐えてください。』
『わたくしは、いつも、両方の側についておりました。だから、手出しは、するかもしれません。』
『また、そういう、無理なことを、おっしゃってはだめです。あなたは、月の将来を考えてください。まあ、どうしても、手をだすなら、クーデターを完遂するお覚悟で、なさりませ。よろしいですか。』
『あ、あ、あ………』
ちょっと気が小さいかめさんですが、うさぎさんが、手を亀さんの手に置いて、かめさんがなにか言うのを遮りました。
『判っております。』
『そうですか。なら、結構です。さ、控え室に戻られませ。怪しまれますよ。』
うさぎさんとかめさんは、控え室に戻りかけましたが、うさぎさんが、亀さんに、ささやきました。
『ちょっと、北欧の英雄様にお礼を申したいので、さきに帰っていてください。』
『なにをおっしゃる、うさぎさん。ぼくは、あなたの護衛役です。目を離すわけにはまいりません。国王の御命令ですから。』
『はあ〰️〰️〰️。やっかいな。あのですね、さっきの、ひみこさまのおことば、どう、解釈しますか?』
『どう、って。あの方は、なにかやるつもりでしょう。』
『まあ、そうなんですが。なにを、やるおつもりなのかが、問題です。だから、あの英雄さまたちに、もうすこし、お願いができないかと思います。』
『なるほど。』
『ついてきて、いいですが、あなたは、黙っていてくださいね。』
『わかりました。』
ここにきて、ひめさん、やたら、おとなげな態度になったな。さすが、お姫様だな。
と、かめさんは、ちょっと感心しておりました。
でも、いくらか、寂しいような感じもしておりました。
うさぎさんと、楽しく、遊び回る時は、もう終わりなんだな、と、思ったのです。
🐢…………………
つづきます、かめ。
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