第30回 『夫婦喧嘩の仲裁は命懸け』 その2

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第30回 『夫婦喧嘩の仲裁は命懸け』 その2

 というようなことが、あったわけです。  ただし、ワイナモイネンさんたちの前に現れた女官は、うさぎさんが作り出した、ホログラムだったのですが。  さて、うさぎさんと、かめさんは、ワイナモイネンさんたちと同じステージに載っていたはずでした。  ところが、ステージが動き始めると、うさぎさんと、かめさんの部分は、勝手に分離して、ふたりだけになりました。  月の法律では、まだお酒を頂いてはならない年齢のため、元ひみこさまの配慮で、こうしたちょっと意地悪な演出が行われたようなのです。  もっとも、『余計なことはするな。』という意味の、警告でもありましたような。  『この舞台は、どうやら、ひみこさまの計略の一環のようですね。』  うさぎさんが言いました。  『まさか、王様とお妃様を、襲うつもりとか。』  かめさんが、とっても嫌なことを思い付きました。  『まあ、それはないでしょう。それでは、月の世界が大混乱になりますし。』  『だって、クーデターするなら、本気でやれなんて、言っていたから。あの方は、なんだか、恐ろしいことを考えているような。』  『まあね。』  すると、その元ひみこさまが、かなり向こう側で立ち上がり、宣言しました。  『帝のお出ましです。』  じゃ〰️〰️〰️〰️〰️ん。  じゃ〰️〰️〰️〰️〰️ん。  と、鳴り物が入りました。  すると、ひとりの女性が、お付きのものたちとともに、しずしずと、神々しく現れました。  『いまのここの帝は、女性なんだ。』  『そう、土木事業が大好きな、新しいものを導入するのも大好きな帝よ。』  『おわ〰️〰️〰️。』  周囲から声が上がりました。  ステージの周囲のあちこちから、噴水が上がったのです。  帝の通り道では、その両側からまるで、霧のような噴水が上がり、それは、たいまつの照明の効果で、七色に輝いていました。  『ひみこさま、お得意のテクです。まだ、ここには、電力がないので、随分、工夫されたんでしょう。』  『むむむ、さすが、巫女様、ですね。』  もっとも、かめさんは、じぶんや、うさぎさんが、人と同じように振る舞っていること自体が、すでに普通ではないという認識を、していませんでしたが。          ⛲     
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