8人が本棚に入れています
本棚に追加
/39ページ
第30回 『夫婦喧嘩の仲裁は命懸け』 その2
というようなことが、あったわけです。
ただし、ワイナモイネンさんたちの前に現れた女官は、うさぎさんが作り出した、ホログラムだったのですが。
さて、うさぎさんと、かめさんは、ワイナモイネンさんたちと同じステージに載っていたはずでした。
ところが、ステージが動き始めると、うさぎさんと、かめさんの部分は、勝手に分離して、ふたりだけになりました。
月の法律では、まだお酒を頂いてはならない年齢のため、元ひみこさまの配慮で、こうしたちょっと意地悪な演出が行われたようなのです。
もっとも、『余計なことはするな。』という意味の、警告でもありましたような。
『この舞台は、どうやら、ひみこさまの計略の一環のようですね。』
うさぎさんが言いました。
『まさか、王様とお妃様を、襲うつもりとか。』
かめさんが、とっても嫌なことを思い付きました。
『まあ、それはないでしょう。それでは、月の世界が大混乱になりますし。』
『だって、クーデターするなら、本気でやれなんて、言っていたから。あの方は、なんだか、恐ろしいことを考えているような。』
『まあね。』
すると、その元ひみこさまが、かなり向こう側で立ち上がり、宣言しました。
『帝のお出ましです。』
じゃ〰️〰️〰️〰️〰️ん。
じゃ〰️〰️〰️〰️〰️ん。
と、鳴り物が入りました。
すると、ひとりの女性が、お付きのものたちとともに、しずしずと、神々しく現れました。
『いまのここの帝は、女性なんだ。』
『そう、土木事業が大好きな、新しいものを導入するのも大好きな帝よ。』
『おわ〰️〰️〰️。』
周囲から声が上がりました。
ステージの周囲のあちこちから、噴水が上がったのです。
帝の通り道では、その両側からまるで、霧のような噴水が上がり、それは、たいまつの照明の効果で、七色に輝いていました。
『ひみこさま、お得意のテクです。まだ、ここには、電力がないので、随分、工夫されたんでしょう。』
『むむむ、さすが、巫女様、ですね。』
もっとも、かめさんは、じぶんや、うさぎさんが、人と同じように振る舞っていること自体が、すでに普通ではないという認識を、していませんでしたが。
⛲
最初のコメントを投稿しよう!