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第31回 『元ひみこさまの踊り』 その1
壮大な酒宴にして、和解が成るかどうかを決める、大切な場であります。
元ひみこさまは、王妃さまと、王様が話し合い、和解が成り立つのが一番だと考えてはいました。
考えては、いましたが。
しかし、はたして、そんなことが、あるのでしょうか。
そもそも、喧嘩の大きな原因は、王様の片思いとはいえ、自分にあります。
だから、自分がなんらかの責任を負わなければ、収まらないだろう、とも、考えました。
お酒や、庶民は見たこともないようなごちそうが、たくさん並びましたし、どんどん、追加が出てきます。
北欧からの客人が大好きそうな料理もあります。
サーモンの料理など、どこから手に入れたのか、うさぎさんには分かりませんでしたが、元ひみこさまには、不可能はないようでした。
王様と、お妃さまの席は、まだ、お互いに、かなり離れた場所にあります。
この二人こそ、今夜の主役です。
宴席は、なんの前触れもなく、すでに始まりました。
でも、乾杯がないと、食べたり飲んだりしていいのか、わからないものですから、しゅんじゅんしている人たちもありました。
と、会場の照明の多くが、突然落ちました。
この時代は、電灯ではありませんが、どうやったものか、松明が、一斉に消えたのです。
『お〰️〰️〰️〰️。』
声が上がりました。
中央の舞台と、噴水が静かに流されている場所だけが、浮き上がるように照らされているのです。
しかし、やがて、中央の舞台の周囲に、籠の目のように、噴水が吹き上がりました。
『おわわあ〰️〰️〰️。』
その場の人々から、感嘆の声が起こりました。
これも、いったい、どういう、仕掛けなのか、舞台の明かりは、赤や青や、黄色や、紫に、お互いが照り輝きながら、その光を流し、その色を、互いに交わしてゆくのです。
一番奥の手にあった、周囲より高くなっている帝の入っている小屋、いえ、小屋と言いますより、小さな御殿は、不変の松明により照らされていましたが、帝の姿は、隠されています。
帝は、ちょっと変わった、このような演出が、大好きでした。
周囲には、警護の武人が、あまり目立ちすぎないように配置されていました。
普段と違うのは、月の兵士たちが、混じっていたことです。
彼らは、都の人々には思いもよらぬ、小型光線兵器なども、隠し持ってはいたのですが、手には、都の警護者たちと同じような、槍を持っていました。
ただし、これも、見た目は槍ですが、中身は違いました。
強力な、空気銃なのですが、最大出力なら、相手の体に穴が開きます。
槍としても、使えます。
そうして、間もなく、舞台には、不思議な模様の衣装に身を包んで、元ひみこさまが、下手側から現れたのです。
手には、おまじないに使います、大きな団扇のようなものが、握られていました。
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