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『第34回 七つの着物の踊り』 その2
琵琶、簫、鉄琴などの楽器による大規模な合奏を考案したのは、まさしく、女帝様でした。
彼女は、自らさまざまな実験を行い、胴体を大きくすると低い音、小さくすると、高い音が出ることを確認し、多くの楽人で、いっしょに演奏することを提案したのです。
それを受けて、元ひみこ様が、それらを、具体化したのです。
新しいタイプの楽器もありました。
とくに、打楽器がそうです。
信じられないような、深くて、不思議で、さらに、大きな音が出ます。
もっとも、月の世界出身の元ひみこ様には、そうしたことは、もともと、よくわかっていたのですが。
そこで、飛鳥の宮のオーケストラが、実現したのです。
後世の和声理論などは、もちろんまだないのですが、そこは単旋律主体ながらも、偶然性にも寄りながら、複雑に絡み合う、その微妙な響きの美しさは、元ひみこ様をも感心させたのです。
女帝様は、作曲もしたのでした。
その、世にも不思議な、えもゆわれぬ美しい音楽に乗って、元ひみこ様は、踊り始めたのです。
じゃん、じゃん、か~~~~ん。
じゃかじゃん、じゃん、じゃ~~~~~~~ん。
ぐわ~~~~~~~~~~ん。
しかも、元ひみこ様は、当時都以外では、まず見る事のない、色美しい着物を、たくさん重ね着していたのでした。
とき、あたかも、深い夜に至り、月明かりと、かがり火の中に浮き上がる、元ひみこ様の姿は、まさに、天女と言うべきものでありました。
そこに参加していた人々、都の貴人たち、北欧の英雄、月の王様、お妃様、かぐや様(うさぎさん)、もちろん、かめさんも、みな、その美しさに目を見張りました。
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