『第35回 七つの着物の踊り』 その3

1/1

8人が本棚に入れています
本棚に追加
/39ページ

『第35回 七つの着物の踊り』 その3

 元ひみこ様は、踊りながら、まず、着物を一枚静かに脱ぎました。  『あらま。』  うさぎさんが、ちょっと、小さな声を上げたのです。  『どしました? うさぎさん。』  『かめさん、どんかん。』  『え? あれでは、暑いのでは?』  『ふう。かめさんは、アマテラスオオミカミさま、の、天岩戸のお話は、知ってますか?』  『世の中がまっくらになったとか? あれは、日食ですよ。日時もはっきりしています。ただ、この地のかたは、まだ、日食の仕組みを知らないだけです。あの人、以外は。』  『たしかに、あのとき、日食があったのは、確かですね。400年ちょっとまえの話です。わたしは、月にいました。地球に影が落ちるのを、テレビで見ていました。しかし、ひみこ様が、どのように、どこで関わったのかどうかは、いまだに、謎のままです。御本人にも、以前、直接、訊いたけれど、答えてくれません。あのとき、あなたは?』  『ぼくは、火星にいたから、あまり、気にしてなかったですよ。かめ。』  『あら。そう。まあ、アマテラスさまが、ひみこ様だった、と、いうのは、本人も言っていましたから、たぶん、確かですね。しかし、ひみこ様は、一人ではなかったようなのです。また、アマテラスさまも、おそらくは、一人ではなかった。複数の、モデルがあったらしい、のです。さらに、どちらにも、影がいたのです。アマテラスさまは、地球の方です。ひみこ様は、そのなかの、ひとりです。しかし、実は、月の王国から、地球に派遣されていたスパイは、かなり、たくさんいたのですから。この地域だけでもね。所によって、名前が違ったりもしたようですが、ほとんどは、知られてはいません。まあ、スパイは、あくまで、知られてはならない存在ですからね。地球には、まだ、テレビとか、ないですし。ひみこ様は、一応、日食の、その年か、まえの年あたりに、なくなったことにしたらしいですが、仕事柄、あまり、明確ではありません。しかし、いま、問題なのは、その、天岩戸伝説です。彼女は、また、同じことをやろうとしている。』  『はあ?』         🌒  ✳️ このお話は、フィクションです。歴史的事実とは、関係ありません。
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加