第6回 《兵士の鋳造》

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第6回 《兵士の鋳造》

              🔨    イルマリネンさんは、古代の偉大な鍛冶工さんです。  サンポは、彼が作った魔法の挽き臼で、小麦や塩やお金なんかを挽きだすのです。  ただ、イルマリさんは、ワイナイモイネンさんと、嫁取りの問題で、仲違いしていました。  だから、簡単に、承諾するとも思えなかったのです。  『私が、魔法の言葉を教えるから、そうしたら、サンポは強い兵士を挽きだす、いや、鋳造する、だろう。そうすれば、あの連中が、やがて攻めて来ても、対応ができるに違いない。』  『ふうん・・・・・』  古代の鍛冶は、考えました。  聞くところによると、月の王は、大変な財産持ちであるという。  ならば、ここで手を貸せば、報酬をたくさんもらえるのではないか。と。  ワイナモイネンさんンは、そこも見抜いていました。  『このうさぎさんは、月の国の王女様だそうだ。助力をすれば、それなりの報酬が出るであろう。・・・ ね? 王女様?』  『ね? ・・・はあ、まあ、あたくしは、追放の身ですが、確かに、月の国の役に立てば、報酬は出るでしょうし、あたくしも、また月に出入りできるようになるかもしれないし、ダメでも、かめさんだけでも、返してやりたい。』  かめさんは、ぐっときました。  やんちゃな、うさぎさんが、そんなこと考えていたなんて。  『いま、南の方面から、ろうま、とかいう連中が上がってきておる。やつらは、マリヤッタという神を掲げ、われわれ、土着の英雄を打ち負かし、人びとの中から消そうとしているらしい。そこも、食い止めたいのだ。』  マリヤッタは、やがてこの地で、ワイナモイネンさんたちに変わって支配者となるものの、母であるらしいのです。  しかし、イルマリネンさんは、わりと、クールでした。  『歴史は変わるものだ。永遠に栄えるものはない。おごれるものひさしからず、しかし、財力があれば、新しい世の中でも力を保てる。これからは、魔法ではなく、財力の時代になる。』  『そう簡単に、引っ込んだりはしないぞ。真の言葉には、強い力が宿るのだ。まあ、しかし、ここは、お互いに得るものがあるとしたい。』  『まあ、そうだな。いいだろう。』  そこで、イルマリネンさんと、ワイナモイネンさんは、沢山の、兵士を挽きだしました。  いまで言う、ロボットであります。   ************   ************                           🤖   f33f73e6-0afa-4ebb-884e-32b4dd3dc022     高速道路のうさぎさんの隣にいたかめさん        
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