第8回《月の世界の危機》その1

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第8回《月の世界の危機》その1

 月の王様は、うさぎさんのお父さんです。  地球の人間よりもちょっと、小さいくらいなのです。  しかし、決まった形はないので、見た目は、どんどんと、変わります。  ただし、なにかの体があることだけは、どうやら、事実です。  『あの、宇宙船は、誰のものだ?』  王様は、ふわふわ、浮かんでいる、主席大臣に尋ねました。  『地球から出て来ましたが、地球人には、まだ、あのようなものは、造れません。また、我々がしるかぎり、地球に、あのようなものが、着陸した記録はありません。ただし…………。』  『ただし、が、好きな大臣さんだからな。で、ただし、なに?』  『あ、おほん、大僧正が保管している、いにしえの文書には、記録があるのではないでしょうか。誰も見ることができないし、読むこともできない。』  『役に立たない本だね。大僧正さまは、ぼくには、口も聞いてくれないからなあ。ぼくは、不信心だから。』  『御意。しかし、私が長年の研究から、思いますに、伝説によれば、我々は、はるかな宇宙からここに来た。そのさい、乗ってきた船が、あれではないか、と。・・・・・・』  『ふうん。お伽噺なんだ。』  『御意。でも、船があそこに、います。全長、20キロメートル。燃料は、なんでしょう。推進装置は、なんでしょう。おそらくは、我々が持つ技術の、元になっているものではないか。』  『では、大臣さまは、あれらは、我々の、同胞である、と。いうのかい?』  『まあ、昨日の同胞は、今日の敵かもしれませんぞ。なんせ、古い話ですからなあ。念には念を入れる必要があります。』  『だね。戦闘体制。全正規軍召集。予備役にも、準備指示。』  『御意。』  『ああ、まあ、物質崩壊砲も、準備ね。使いたくないが。』  『御意。』  そこに、兵士をしている、かめさんの一番上のお兄さんが、駆け込んできました。  『失礼します。大臣さま。巨大宇宙船から、降伏勧告が来ました。映像付きです。』  『なんと。ころなな(ばかな。)。陛下、ご覧になりますか?』  『うん。見たいな。』  『ここに、転送せよ。』  『は。』  『ああ、きみ。』  王様が、直に声をかけました。  『きみは、かぐや、の、お付きのものの、家族だね。変わりはないかな。』  『あ、はあ。いや。恐れ入ります。あの、まだ、お聞きではないのですか。じつは、あの宇宙船が飛び立った場所あたりに、おいでになることは、わかっていたのですが。あれが、飛び立ったとき、情報員が巻き込まれたらしくて、あとが、わかりません。あの・・・、奥方さまには、お伝えしたのですが。』  『あいつ、心配させまいと、だまっているな。だいじょうぶ。君の責任じゃない。ありがとう。』  『は、ははあ。』  かめさんのお兄さんは、かめさんの姿で、後退りしました。  そこに、問題の映像が、現れました。  『む、これはあ❗』  王様は、やおら、立ち上がりましたので、あります。 ・・・・・・・・・・・・・・・・  
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