episode.2

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episode.2

碧が俺を引っ張って学校へ連れて行ってくれる。 「ほら、遅刻しちゃうよ?」 『ん、』 別に学校なんてどうでもいい。 俺には碧がいれば....碧がいればなんだ? 自分の思考が怖くなる。 「どしたの?すーちゃん」 『...』 確かにこいつは格好良い。 色素の薄い、薄茶色のサラサラした髪の毛と、白い肌。また、色素の薄い茶色い目。 通った高い鼻、背はすらっとしてして、まるでモデルのようだ。 人当たりの良い性格で、いつもニコニコしている。 ご飯も作ってくれるし、朝も起こしてくれるし....。 あれ?これ俺何も出来てないんじゃ....。 『あお、俺、あおの役、たってる?』 小首を傾げて聞く。 「....ッッ!!めっちゃたってるめっちゃ!!大丈夫!!」 顔を少し赤く染めて勢いよく言う。 どうしたんだ? 『でも...』 「だいじょぶ、すーちゃんは俺のヒーローだから。」 それでも俺は碧に甘えてばっかりだ。 「ってか、俺がやりたくてやってることだから。ね?」 碧は甘い笑みでこっちを見る。 『わかった...!』 キーンコーンカーンコーン、と予鈴がなる。 「よし、すーちゃん行くよっ!」 嫌な予感がする。 碧は俺の手をとって、全速力で走った。 -------❁ ❁ ❁------- 2人で校内を全力で走り、ギリギリ本鈴がなる前に教室に着いた。 「碧〜!今日は来ないかと思った〜!」 「いや、ちょっと話してたら遅れちゃってね」 碧はクラス、いや学年の人気者で、いつもまわりに人がいる。今も、クラスで一番可愛い星野さんと話している。 なんだかモヤモヤする。 ──碧の隣は俺なのに.... え?今、俺.....? 「彗、おはよー」 『ん、』 今までの思考をかき消すように俺は返事をする。 「今日も、ん、ってなんだよ、ん、って!」 笑いながら俺に言うのは、碧の他の俺の唯一の友達、高橋だ。高橋は、俺と好きな作家さんが同じで、そこから仲良くなった。高橋はあまり目立つ存在ではないが、価値観が結構近くて、一緒にいて楽しい存在だ。 『ん、』 「あはははははっ、」 『....』 じろりと睨む。 「わかったわかった。」 「あ!彗、昨日俺水巻亮さんの新作買ったんだ!!」 『!!!!』 「今回も細部まで設定が凝ってて、特に主人公なんか....」 高橋と話していたら、さっきまでのモヤモヤは消えた....気がした。
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