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こいつは目が悪いのか、どこかおかしいのか、おかしいのは確かや、こいつが怖すぎる、こいつに関わると危険や、さっさと逃げたほうがええけど教師やから逃げられへん、教師でも逃げてええんかな、と俊太の中で複雑な思いがぐるぐると回る。
「俺に会いに来たのか?」
和臣に腕を掴まれ、俊太の全身が凍りついた。
「………………アホ」
制服の上からでも、鍛え上げられた体躯はわかった。和臣に比べれば巷の半グレはヨチヨチ歩きの子供だ。
「アホはお前だ」
和臣は憮然とした面持ちで俊太を見下ろした。新任教師に対して尊敬の念を抱いていない。
「……お、俺は教師や。教師に対する礼儀を知らない奴はアホやろ」
……怖い、怖いけど、怖いけど一言ぐらい注意しておかないと沽券に関わる、と俊太は持てる根性を振り絞った。
生徒に侮られたら学級崩壊のカウントダウンが始まりかねない。だが、今にも和臣の鉄拳が飛んできそうで怖かった。
「キサマのような教師はいない」
ご多聞に漏れず、和臣も良家の令息だが、言葉遣いも態度もふてぶてしい。和臣を絶賛していた理事長や校長、学年主任に文句を言いたくなった。
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