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「あなたみたいなナヨナヨした男は、どうせ三日も続かないでしょうけれど、登録ぐらいはしてあげるわ。ほら、さっさと手を出して」
私はいろいろ言い返したい言葉を飲み込んで、透明の球体の上に手を置いてみる。
「ん?」
お姉さんは首を傾げた。そのまま三秒経過。
「んん?」
お姉さんの眉間の皺が深くなった。
「もう一回手を置き直してみてくれる?」
「はい」
言われたとおりにしたけれど、水晶は無反応。お姉さんは壊れたのかなと言いながら、自分の手を載せている。あ、赤く光った。
「これが壊れているわけではなさそうね。となると、あなたが変なんだわ。もう一回。ちゃんと手を置きなさい」
次は変人扱いか。私は次こそ何かの反応が出ますようにと祈りながら手を載せる。でも、私は神様から見離されてしまったらしい。
「……駄目ね。これじゃ冒険者登録はできないわ。この魔道具が反応しないと、ギルドカードの発行も、討伐依頼の受付も、報酬の受取もできないのよ」
「そんな……」
もしかして、私が異世界人だから反応しないのかな? って、考察している場合じゃない。つまり私は……
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