門衛になっちゃった

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「愛情をもって厳しく育てるが俺のモットーだからな」  オレガノ隊長は機嫌良さそうにフフンっと鼻を鳴らしているけれど、たぶんこれは褒められていないと思う。それより、肉壁って何だろう。もしかしなくても、もしかするのかな。私は背筋が一瞬ひんやりとするのを感じた。 「んでお前、名前は何だっけ?」  名前……そう言えばまだ考えていなかった。どうしよう。そして慌てて口走ったのは、今は亡き片思いの人の名前。 「衛介です」 「エースケ? 変わった名前だな」  ここは異世界だから、日本名は不味かったかもしれない。と焦ったけれど、そこは上手いこと誤魔化しておこう。 「あの、エースって呼んでください」 「第一人者(エース)か。見た目に似合わず、なかなか立派じゃねぇか?」  あはは。自分でもあまりにもテキトーすぎるネーミングに乾いた笑いしか出ませんよ。でも、まさかこんなことになるとは思ってもみなかったのだ。突然異世界に転移してしまい、女であることを隠しながら王城の門衛として就職することになるなんて!  まずは、事の発端を聞いてほしい。    ◇   「衛介。なんで死んじゃったんだよ」
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