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と言って、葱と鶏もも肉が刺さった串を突き出してきた彼の声を思い出すと、自然と涙が溢れてくる。私は、躊躇いなく焼き鳥にかぶりついた。あぁ、美味しいよ。めっちゃ美味しいよ。なんで、隣に衛介がいないんだよ。ねぇ、なんで?
その時の私は、滲んだ視界が少しずつ変化していたことに全く気づいていなかった。
◇
あれ? ここどこ?
見渡すと、知らない街の知らない路地にいた。私の右手には食べかけの焼鳥の串が一本。装備はそれだけだ。見上げてみると、細長い青空が見えて、細い紐にぶら下がるたくさんの白い洗濯物が、運動会でよく見かける小さな国旗みたいにヒラヒラとはためいている。
私は山の中の墓地にいたはずなのに。もしかして夢でも見ているのかと思って耳たぶを引っ張ってみたけれど、ちゃんと痛みはある。
ふう。私はひとつ深呼吸した。ここでじっとしていても埓が明かない。私は路地の先にちらりと見える、人通りの多い場所に向かって歩いていった。人間、ここまでの窮地に陥ると、かえって冷静になれるものらしい。
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