門衛になっちゃった

5/6
前へ
/1193ページ
次へ
 そして行き着いたのは、大きな噴水のある広場。ここはどこかの大きな街であり、日本ではなさそうだ。何より、その街並みを作り上げている建物が以前修学旅行で行ったヨーロッパの町並みに似ているものの、行き交う人々の格好が変なのだ。髪色がカラフルすぎる。水色とか紫とか緑とか。さらによく見れば、明らかに現代人が纏うにはお粗末すぎる素材のゴワゴワした服を着ていて、デザインのバリエーションもかなり少ない。ほとんどの男性はシャツにベストを羽織り、暗い色のズボン。女性はくるぶし丈まであるロングスカートが基本で、三角巾のような要領で大きな布を頭に巻いている人もいる。  四台目の大きな馬車が目の前を勢いよく通り過ぎた時、私はようやく事態を飲み込み始めていた。ここはたぶん、異世界というヤツだ。どうやら、衛介から借りたラノベでよくあった『転移』というものをやらかしてしまったらしい。
/1193ページ

最初のコメントを投稿しよう!

107人が本棚に入れています
本棚に追加