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ギルドは見上げる程にデカイ煉瓦造りの建物だった。ついでに言えば、出入りしている人々の図体もデカイ。普通の人はいないのか、普通の人は! と思ってキョロキョロしながら扉の外から中の様子を伺っていると、受付カウンターらしき場所に座るお姉さんと目が合ってしまった。目が合うって、異世界では流行っているのか。できるものなら、死んだ衛介に匹敵するイケメンが良い。
と、心の中で毒づいていたのがバレたのかもしれない。お姉さんは喧嘩上等っていう顔でこちらに手招きをしている。これは『おいで』じゃなくて『カモン! 来やがれ!』という感じだ。お姉さん、せっかくの美人が台無しだよ。私は仕方なく中に入っていった。
「あの……」
先程のオジサンとのエンカウントで、この世界でも日本語が通じることは分かっている。だから気軽に声をかけたいところなんだけど、周囲の猛者達から刺さる好戦的な視線もあって、どうしてもタジタジになってしまうのだ。
「ちょっとあなた! こんな昼間から出入口に立って客引きなんかしないでくれる? 娼婦のことを馬鹿にするつもりはないけど、マナーは守ってもらわないと」
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