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門衛になっちゃった
紺碧の空の下。目の前に立つのは大男だ。と言っても、この世界では平均的な背格好なのだと思う。
「貧相なガキだな」
彼、ハーヴィー王国第八騎士団第六部隊隊長と名乗るオレガノさんは、私の全身を舐めまわすように見渡した。私は、白シャツの上に黄土色のベストを着て、色褪せた焦げ茶のズボンを穿いている。背中の真ん中ぐらいまであった黒髪は、さっき冒険者ギルドの受付のお姉さんがバッサリ切ってくれたから、どこからどう見ても普通の少年……のはずなんだけど。
「得意な武器は何だ?」
「ありません」
「魔法が使えるのか?」
「分かりません」
「……度胸はあるか?」
「多少ならば」
また門前払いか。そう思った時、オレガノさんはふっと笑った。
「合格!」
やった! これで就職先はゲットだ! と思っていたのも束の間。すぐにオレガノさんの隣に立っていた男性が訝しげな声を出した。
「いいんですか? こんなひよっこ、何の役にも立ちそうにありませんよ?」
ですよね。私もそう思います。
「そうか? 肉壁ぐらいになら使えるだろう」
「さすが鬼畜で有名なオレガノ隊長!」
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