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男は、一度だけ俺を見たが『知ってどうする?』と聞いてきた。
「生きていて幸せなら、それで良いんだ」
「その幸せとやらは誰の基準だ?」
「それは……」
「あんたが探している事を知っていた。だから、俺は待っていた。あんたが必ずあの場所に来るのを」
一瞬、何を言われたのか理解出来なかった。
「仮に、娘が母親を殺したとするなら、あんたはどうする?」
考えてもいなかった言葉に返事すら出来ないのは、若い男が醸し出す威圧感が凄まじいと思ったからだ。
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