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二人でこの倉重家を盛り上げていこう。そんな心意気を揃え、彼女と結婚し、夫妻であちこちに顔を売った。のに……。
そのせいか。かえって義妹には『それ』に染まって欲しくないと耀平は思っている。あの仮面の世界、仮面をちらっとずらして見えた本心を見逃さずに微笑みあう世界とはソリが合わない、そんな義妹の『感性から生まれ出る所作』を人々に知って欲しいと思っている。
ガラスに向き合っている義妹の、世間に相反している素直さや、気難しさ、奔放さ、そして世間知らずな顔をして、実は人の心根を見据えている強かさ。そういう奇妙なバランスを感じたら、きっと、退屈な駆け引きをしている者達はそんなありのままの義妹を受け入れてくれるだろうと確信している。
「でも。お兄さんはいいの。姉の次に、妹にも手を出したって影で言われる」
「もう、ずっと前から言われている。俺が山口に家を持って、そこにガラス職人の妹を住まわせていることがどういうことか、散々噂されてきた」
だから大丈夫だと、キッチンに立つ義妹を背中から静かに抱きしめた。
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