4787人が本棚に入れています
本棚に追加
汗ばんだ身体の熱さが、耀平のシャツを通してでも直ぐにわかる。そんな花南を耀平はもっと……と、自分へと抱き寄せる。
「兄さん……、だから汗……」
汗をかいている時、義妹は耀平のシャツやネクタイが汚れることをいつも気にしている。そんな何枚も何本も持っているもの……と思うのだが、それらの多くは義妹が留守番をしてくれている間に揃えてくれているものだった。
そうして、留守の間も兄貴である自分のことを気にして、似合うものをと想って選んでくれている義妹。強引に勝手に自分のものにした『ズルイお兄さん』だと冷たくするくせに、遠回しにその愛情を示してくれている。そう思っていた。
「洗った肌より、汗をかいているカナの方が好きだ」
そうしてもっときつく抱きしめる。彼女のじっとりと汗ばんでいる首筋にキスをして、僅かに舐める。
しょっぱい肌のようで、だからこそ、汗の下にある義妹の皮膚は甘く感じた。慣れきった彼女の肌の味は、耀平だけしか知らないはずで、義妹も誰にも許していないはず。
「兄さん」
腕の囲いの中、花南がそっと身体を返して耀平の首に抱きついてきた。
最初のコメントを投稿しよう!