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十歳も年下の義妹が、そうして若い馬鹿さ加減で危なっかしいことをしているのも目にしてきた。男に夜遊びに、同期生達との馬鹿騒ぎ。裕福な育ちの花南には、様々な人間が群がってきた。
だいたいが金目当てであって、そして家族の人脈目当てだったりした。それを肌で感じた耀平は、倉重の会社を守っていく者として危機を感じたことがある。この未熟な義妹が騙されて、大きなリスクを背負うことにならないかと。
だから、妻の美月に『あまり自由にさせないほうがいい。時々、様子を見に行った方がいいのでは』と言ったことがある。
だが妻はおおらかだった。
『花南はもっとお金をちょうだいなんて馬鹿なことは絶対に言ったことがないし、あれでも人を見る目があるのよ。うまく仕分けができているのを知ると、ちょっと私も鼻が高くなるの。流石、私の小さな妹って――』
そして妻は抜かりがなかった。花南にはこまめに連絡をして、困ったことがあるならすぐに助け、相談に乗っていた。たまに、『花南のところに様子を見に行っていきます』と家を空けることもあれば、『花南のガラスの援助に行ってきます』と、創作グループのパトロネスとして出掛けることも多かった。
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