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それにひっかかるか、ひっかからないかを耀平も選ばなくてはならない。
しかし、これでひっかからない男は、これまたどうなんだ? と思わせられる。
それはワザと自分を大胆に差し出してくれている女を拒否したことになる。そうすると『もうわたしなんて、いらないんだよね』という意地悪を、明日からされることになる……。それも、かなりしつこく、しばらく言われる。義兄が、あの時は悪かった、俺が間違っていたと降参するまでだ。
だからひっかかるしかない――というわけだった。ほんとうにもう、どうしようもない義妹だ。でも、それがまた楽しいから困る。そう思いながら、耀平は花南の手を握ると、そのままベッドへと引き寄せた。
どうしようもない悪戯をしかけてくる、義妹。
それでも。耀平が思いつかないような『あけすけ』な感覚。
耀平自身にはない花南の男と触れる時の遊び心が、耀平は好きだった。楽しみにしている。
だが。いつもそこで少し苦いことを思い出す。昔もそう。花南は、いつもこうして男を楽しませていたのだろう。
『俺だけじゃない』ことは、耀平も良くわかっている。学生時代だけでなく、彼女が実家を出て小樽に行ったその時も。花南はそうして、気まぐれに男に気を許すところがある。
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