2.××年 小樽

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 頼りにしていた長女を亡くし、ひとり娘になった次女の将来がガラス職人なのかと、心配ばかりしている。今度はすぐに会いに行ける隣県ではないし、義母もいまは小さな航の世話を任せているので、娘に会いたくても会いに行けない状態だった。  義妹が出て行ってから初めての再会になる。  花南が北海道へと出て行ってちょうど一年経ったぐらいの頃だった。    耀平はひとり、北海道へと向かう。  宇部空港から羽田、羽田で千歳便に乗り継ぎ新千歳空港。そこからJR線に乗り換え、札幌へ。近いのかと思ったらそうでもない。一時間近くかかる。しかも小樽はまたその向こう。千歳から小樽への直行列車がなければ、これまた札幌で一度降りて小樽行きに乗り換えとなる。  なんとも長い旅路になる。これでは帰りたいと思ってもすぐには帰っては来られない。改めて、義妹が実家を出て行った覚悟を知ることになる。    長い旅路、耀平は花南と暮らした二年を思い返していた。    美月の三回忌を節目に、義妹の花南が実家を出て行った。  残された幼い甥っ子が元気に生活を始めたのを見届けて、そっと出て行った。
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