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「あー、わかったわかった。兄さんが悪かった。まあ、そんなカナも、ちゃんと大人になれたんだなあと思っているから安心しろ」
もう~、やっぱり意地悪な言い方! ついにカナはぷんとそっぽを向く。それでも義兄さんは楽しそうにクスクス笑っていた。
「ほんと、副社長たら。妹さんが可愛くて好きすぎて意地悪するだなんて――。本当に愛していらっしゃるんですね」
そんな藤井さんの一言が効いたのか、義兄が黙りこくった。それがおかしかったので、ついカナは笑みをこぼしてしまう。
「きっと、ずっとご兄妹なのでしょうね。失礼かもしれませんが、私はそれでよろしいことだと思っております」
このホテルに新人の頃からいたならば、副社長である義兄と花南の噂はよく耳にしただろうし、義兄の姿も見守ってきた人なのだろうなと思った。
一瞬、この女性は義兄のことが好きだったのかなと思ったりしたが、聞けば、二十代の頃にここの料理人と結婚しているらしく、もう小学生が二人いる立派なお母さんだとのこと。
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