3.△△年 小樽

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 耀平の胸を貫くものがあった。この義妹は、息子の航のことを遠い小樽にいても思ってくれていた。やはり、二年、一緒に暮らして手伝ってくれただけあった。 「じゃあ。これからは、兄さんに相談してくれないか」  花南は黙っていた。兄さんに相談も、躊躇うようだった。そういう頑ななところがあるのもわかっている。 「わかったよ。カナちゃん。だけど、俺やお母さん、お父さんも、ちゃんと助けてくれることは絶対に忘れないでほしい」  久しぶりに、花南の黒髪の頭をそっと撫でた。花南がやっと耀平の顔を見上げる。  あどけなさが残っていたけれど、本当にもう、大人の顔だった。 「せっかくだから、帰るまでにカナちゃんに小樽でも案内してもらうか。ガラスの店がいっぱいあったな。あと、今夜は兄さんと食事でもしよう。うまいレストラン知っているか」  切り替えの早い義兄を知って、やっと花南も実家で見せていたあどけない笑顔を浮かべた。 「小樽に来たらレストランより先に、お寿司屋さんだよ」 「いいな。北国の魚介で寿司か」 「ワインとお寿司で食べるところもあるよ」  うんいいな。と、耀平もようやっと兄貴の顔で笑えた。  その夜は小樽の寿司を二人で食べて、花南とは別れた。
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