3.△△年 小樽

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 そっちの息子が諦めていないのが気になるが。もうこの胸くそ悪い親と別れられるなら、見下げられたままでもいい。どうせもう二度と会わない人間。ムキになるエネルギーも使いたくない。これで終われると思った矢先、耀平の目の前に『念書』という紙が差し出されていた。 「では。こちらにサインをお願いいたします」  弁護士事務所と弁護士の名刺も差し出された。 「もちろん。妹様ご本人のサインでお願いいたします。こちらに郵送してくださいませ」  若い男と女がちょっと付き合って駄目になっただけの話。なのに、花南が悪者だという印を押そうとしている。  しかもこれにサインをしたら、花南が会いたくなくても、男が会いに来てしまったら『会った』ということにされてしまう。その時に花南に与えられる罰、花南にだけ安易に罰が下るようにしようとしている。むしろ、そうなってほしいという母親の策略か。  耀平の怒りに火がついた。 「お断りいたします。なにか不都合があれば、こちらにご連絡くださいませ」  ついに耀平は、自分の名刺を差し出した。
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