4786人が本棚に入れています
本棚に追加
決めた。俺は、花南をそばに暮らす。
花南を俺のものにする。もう誰かに触られていると案じるのはごめんだ。
花南を囲って、俺のものにする。どんなに強引でもいい。花南が泣いてもいい。
気難しい花南など、正攻法で責めても時間がかかるだけ。時間などない。待てない。いますぐ、俺と航のそばに連れ戻す。
花南が小樽へと修行に出て、二年。耀平は既に動き始めていた。
ガラス工房の会社を起こす準備を進めていた。山口の市内でちょうど良い物件がないか探す日々。
見つけた家には、花南専用の小さな工場をつける。そこで、花南に創作をさせる。きっと、いいものを造り出すに違いない。
今度は、俺が義妹をガラス職人に仕上げる。
それと同時に。耀平は手元にある『秘密の封書』を前に項垂れる。
以前から気になっていたこと、なかなか決意できないことがあったのだが。ついに調べた。
花南と暮らす前に、はっきりさせておこうと――。
杞憂であって欲しいと願っていた。だが、妻とあれだけの決別をしただけあった。
――『航は、俺と血が繋がっていない。他の男の子供だった』。
DNA鑑定の結果だった。
最初のコメントを投稿しよう!