4.○○年 山口

1/13
前へ
/357ページ
次へ

4.○○年 山口

 ○○年 山口――。  山口の家で初めての晩、花南を抱いた。  無理矢理、抱いた。  それは女性には酷い行為だったと思う。嫌がる花南を連れてきただけではなく、抵抗する花南を無理矢理ベッドに押し倒し、服を力任せに剥いで……。  ――いや、やめて絶対にだめ。わたしはダメ。他の女の人にして!  ――カナがいいんだ。他の女なんて、どうでもいい!  無理矢理、男の両手で頭を抑え、泣き顔になっている義妹の唇を塞いだ。  強引に唇をこじ開け、義妹の熱い口の中を貪った。  花南が本気で嫌がっているので、流石に耀平も少し怯みそうになる。もう耀平もやけくそだった。これでなにもかも壊れるなら、それも決心がつくというもの。それなら、男の衝動をここで吐きだしておく。  カナ、おまえが欲しい。カナ……、俺のそばにいてくれ。カナがいい。カナ、あの二年のように俺と航のそばで静かに笑っていてくれ。  なにもかもかなぐり捨てた男のキス。義妹の熱い口の中を荒らした。気のせいか。彼女の甘い舌先も、耀平に絡みついた気がした。 「ひ、酷い……。嫌がっているのに、酷い……」
/357ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4791人が本棚に入れています
本棚に追加