4.○○年 山口

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 まだその手は耀平を求めもしないし、彼女の指先は、男の肌を愛そうとしない。ただ耀平の身体と肌が重なっても、否応なしでも、花南は耀平を受け入れてくれている。  いまは嫌がっているが、それも義妹だから……。越えてはいけない義兄妹という危うい関係を必死に保とうとしているから。姉の夫だったから、次は妹もなんてきっと嫌だろうけれど……。  それでもいい。こうして花南の肌を俺だけのものにできた。  花南のカラダ中、どこもかしこも隈無くキスをして……。その甘さを、一晩中味わった。  さすがに鍛えている耀平でも疲れ果て、朝一番のカリヨンの鐘の音を聞いた途端に眠ってしまったようだった。  これから。この鐘を聞きながら、ここで花南と暮らす。次の休みには、航を連れてこよう。そこのダイニングで、一緒に食事をしよう。花南はあまり料理が得意ではないから、俺も手伝う。あの頃のように、花南と航と買い物に行こう。微睡みの中、ずっとずっと強ばらせてきた何かがふっと和らいでいくのを感じていた。  それから五年。『勝手に俺のものにした』義兄と義妹の、約束もなにもない生活が続いた。
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