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勝手に連れ戻して抱かれた花南は冷たい素振りを頑なに続けていて、素直になってくれない。
それでも。耀平が来る日は、キッチンで料理を準備して待っていてくれる。『ただいま』と抱きしめてもツンとしてなにも言ってくれないのも当たり前で、でも、クローゼットを開けると洒落たシャツにネクタイが揃えてある。
夜を重ねる毎に、花南のカラダが耀平の男の身体に馴染んでいく。ふたりだけの夜、花南は最後には肌を熱くして、細くて長い腕で耀平を抱いてくれるようになった。
慣れた睦み合いが、離れられない身体になっていく。あんなに危なっかしい若い妹だったのに、耀平が相手になってからは、他の男には冷たくなり見向きもしなくなった。
すべてを預けてくれない天の邪鬼な義妹。決して『好き』とも可愛らしく囁いてもくれない義妹。なのに、耀平を待っていてくれる義妹。言葉ではなくて、暮らしている中で『好き』を忍ばせてくれていた義妹。
彼女と過ごした五年間は、ほんとうに耀平には不確かでも大事なものだった。
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